コラム

2026/06/24 コラム

不動産の遺産分割―放置するほど複雑になる「実家」問題の解決策―

親が亡くなり、実家の土地・建物が相続財産として残された。こんなとき、多くのご家族が「とりあえず後で話し合えばいい」と先送りにしてしまいます。しかし不動産の遺産分割は、時間が経つほど難しくなる問題です。なぜそうなるのか、どう解決すればよいのか、法律事務所Sの弁護士脇澤奏江が解説します。

なぜ不動産の相続は揉めやすいのか

遺産の中でも不動産が絡むと、話し合いが特にまとまりにくくなります。その理由は大きく3つあります。

第1に、「分けにくい」という性質です。預貯金であれば、相続分に応じて金額を割り振ることができます。しかし土地や建物は物理的に切り分けることができません。「誰が住むのか」「売るのか売らないのか」という根本的な方針から話し合わなければならず、意見が対立しやすくなります。

第2に、感情的な問題が絡むことです。「実家を売るなんて父が聞いたら悲しむ」「自分だけ親の面倒を見てきたのだから多くもらって当然」―こうした感情や主張が入り交じり、純粋な法律論では解決できなくなることがあります。

第3に、価値の評価が難しいことです。不動産は評価方法(路線価・固定資産税評価額・実勢価格など)によって金額が変わります。「この家は3,000万円だ」「いや2,000万円だ」と主張が食い違い、そこから議論が停滞してしまうケースも少なくありません。

放置すると起きる「二次相続」問題

相続発生後、何年も遺産分割をしないでいると、さらに深刻な問題が起きます。それが「二次相続」です。

たとえば、父が亡くなり実家の分割を先送りにしているうちに、今度は母も亡くなってしまったとします。すると、実家の相続人は父の相続人(兄弟姉妹)に加え、母の相続人も合わさり、権利関係が一気に複雑になります。さらに時間が経つと、相続人自身が亡くなり、その子(被相続人からみると孫や甥・姪)も相続人に加わります。

相続人が増えれば増えるほど、全員の同意をとりつけることは困難になります。中には連絡がとれない方、海外在住の方、すでに認知症になってしまった方が出てくることもあります。「誰の相続かもわからない土地」になってしまう前に、早期に手を打つことが不可欠です。

【放置した場合に起こりうるリスク】

  • 相続人が増え続け、全員の合意が困難になる
  • 不動産の売却・活用ができず、固定資産税だけ払い続ける
  • 2024年から相続登記が義務化。放置すると過料(罰金)の対象に
  • 相続人の一人が認知症になると、成年後見手続きが別途必要になる

【重要】2024年から相続登記が義務化されました

2024年(令和6年)4月1日より、相続による不動産の取得を知った日から3年以内に相続登記を申請することが法律上義務付けられました(不動産登記法第76条の2)。正当な理由なく申請しない場合、10万円以下の過料の対象となります。

なお、この義務は過去の未登記不動産にも適用されます。「親が亡くなって何年も経つが登記をしていない」という方も、早急な対応が必要です。ただし、遺産分割協議が整っていない段階でも「相続人申告登記」という簡易な方法で義務を果たせる制度が設けられています。まずは法律事務所Sにご相談ください。

不動産の遺産分割、主な解決策は三つ

不動産を含む遺産分割には、代表的な方法が3つあります。それぞれの特徴とメリット・デメリットを理解したうえで、ご家族の状況に合った方法を選ぶことが重要です。

① 現物分割 ―不動産をそのまま特定の相続人に

一人の相続人が不動産をそのまま取得する方法です。「長男が実家を引き継ぐ」というケースが典型です。不動産の価値が相続分を超える場合は、他の相続人に対して代償金(差額)を支払うことが一般的です。

② 代償分割 ―不動産を引き取り、他の相続人に金銭を支払う

実家を引き取る代わりに、引き取る側が他の相続人に現金で差額を支払います。不動産を残しつつ公平に分けたい場合に有効ですが、代償金を用意できるかどうかが鍵になります。

③ 換価分割 ―不動産を売却して現金で分ける

不動産を売却し、売却代金を相続分に応じて分ける方法です。公平に分けやすく、トラブルが起きにくいというメリットがある反面、「実家を手放したくない」という相続人がいると合意形成が難しくなります。

話し合いがまとまらないとき―調停・審判という手段

相続人同士での話し合いでまとまらない場合は、家庭裁判所を利用する方法があります。

遺産分割調停は、家庭裁判所の調停委員が間に入り、相続人全員で話し合いを進める手続きです。話し合いの場を第三者が設けてくれるため、感情的になりがちな相続問題でも冷静に進めやすくなります。合意が成立すれば調停調書が作成され、法的効力を持ちます。

調停でも合意できない場合は、遺産分割審判に移行します。裁判官が証拠や資料をもとに分割方法を決定する手続きで、相続人全員が納得しなくても法的拘束力のある判断が下されます。

なお、これらの手続きでは、不動産の評価額をめぐる主張や、寄与分(特定の相続人が被相続人に特別な貢献をした場合の加算)・特別受益(生前贈与など)といった複雑な法律問題も扱われます。専門的な知識がなければ、自分の権利を正当に主張することは難しいといえます。

法律事務所Sに相談するメリット

不動産を含む遺産分割を法律事務所Sの弁護士に依頼することには、次のようなメリットがあります。

  • 相続人全員に対し、法的に正確な根拠をもとに交渉を進められる
  • 不動産の評価方法や分割方法について、依頼者に有利な主張を組み立てられる
  • 寄与分・特別受益など、複雑な法律問題を的確に処理できる
  • 調停・審判に移行した場合も、引き続き代理人として対応できる
  • 合意成立後の登記手続き(司法書士との連携)もワンストップで進められる

「自分たちで話し合える」と思っていても、感情的な対立が生じたとき、あるいは「自分の相続分が正当に評価されているか不安」というときに、専門家のサポートは大きな力になります。

まずは弁護士にご相談ください

「相続人が多くて話し合いが進まない」「実家の売却に反対している兄弟がいる」「登記義務化への対応が必要」など、不動産の遺産分割にお悩みの方は、お気軽に法律事務所Sにご相談ください。初回相談では、状況を丁寧にお聞きしたうえで、最適な解決策をご提案いたします。

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