コラム

2026/03/24 コラム

遺言書作成のすすめ ~将来の紛争を防止するために~

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弁護士の長南悠でございます。

 遺言書は、特別な人だけのものではありません

遺言書というと、財産をたくさん持っている人が作るもの、まだ自分には早いもの、と考える方が少なくないかもしれません。

しかし、実際には、相続で揉めてしまう原因は「財産が多いこと」だけではありません。自宅不動産がある、会社や個人事業を運営している、相続人同士が疎遠である、特定の家族に多く財産を残したいと考えている・・・このような事情があるだけでも、相続は十分に複雑になります。

相続が始まった後に、相続人同士で話し合えばよい、と思われるかもしれません。ですが、亡くなった方の預貯金、不動産、その他思い入れのある財産を前にすると、冷静に話をまとめることは簡単ではありません。生前には表に出なかった感情や認識のずれが、相続をきっかけに表面化することもあります。

だからこそ、遺言書には意味があります。遺言書は、単に財産の分け方を書くものではなく、将来に備えて最後の意思を表示することで、残された家族の負担を減らし、将来の紛争を防ぐための大切な備えです。

 

 遺言書がないと、相続人全員で話し合う必要があります

遺言書がない場合、相続財産は共同相続人の共有となり、最終的には相続人全員で遺産分割の話し合いをしなければなりません。

もっとも、この話し合いは簡単ではありません。預貯金のように数字で分けやすい財産もあれば、不動産のように分けにくい財産もあるからです。

たとえば、親と同居していた子がそのまま住み続けたいと考える一方で、別の相続人は売却して現金で分けたいと考えることがあります。介護への関わり方や、生前に受けていた援助の有無などが問題になることもあります。

遺言書があれば、「誰に何を引き継がせるか」を本人の意思として示すことができ、こうした対立を減らしやすくなります。

 

 遺言書は、正しい方式で作ることが重要です

もっとも、遺言書は、ただ書けばよいというものではありません。遺言は法律で定められた方式に従わなければならず(民法960条)、方式を誤ると無効になるおそれがあります。

多く利用されるのは、自筆証書遺言と公正証書遺言です。

自筆証書遺言は、自分で作成する方式で、原則として全文、日付、氏名を自書し、押印する必要などがあります(民法968条)。手軽に作成できる反面、書き方の不備があると問題になりやすい性質があります。また、保管方法にも注意が必要です。改ざんや隠蔽のおそれのほか、せっかく作成した遺言書がそもそも発見されないといった事態も考えられるため、政府の自筆証書遺言書保管制度の活用なども併せて検討する必要があります。

公正証書遺言は、公証役場において公証人が作成する方式で、方式面での安心感があります。費用や手間はかかりますが、無効になるリスクを抑えやすい方法です。

メリット・デメリットを十分に考慮して、最適な方法による必要があります。

 

 内容によっては別の争いになることもあります

遺言書があれば何でも自由に決められる、というわけでもありません。一定の相続人には遺留分(法律で認められる最低限の取り分)があり、内容によっては後日その点が問題になることがあります。

そのため、遺言書は「とりあえず作る」だけでは足りません。家族関係や財産の内容を踏まえて、無理のない内容にしておくことが大切です。

 

 早めの準備が、将来への配慮になります

遺言書は、亡くなった後のための書類ですが、実際には、将来の方のために生前にしておく準備です。

特に、不動産がある方、事業を運営されている方、将来の相続の手続きに不安がある方は、早めに考えておく意味があります。

遺言書を作っておくことは、ご自身の意思を明確にし、ご家族の負担を減らし、将来の紛争を防ぐことにつながります。

詳しくは弁護士に相談のうえ、ご自身の状況を踏まえた最適な形で準備することをおすすめします。

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