2024/02/29 コラム
相続登記義務化とその影響
弁護士の末広です。
相続登記をしないままで放置をしている不動産はありませんか? すでにどこかでお耳にされた方もいらっしゃるかもしれませんが、令和6年4月1日に不動産(土地・建物)の相続登記が義務化されます。
今般の義務化の背景には、所有者が亡くなったにもかかわらず、相続登記がされないことによって、登記簿を見ても、誰が存命の所有者が分からない「所有者不明土地」が全国で増加して、社会問題化していることがあります。
制度開始後は、「わたしはその土地は受け取っていないし関係がない」と言ってみても、ご自身が法律上の相続人である限りは、登記をする義務があります。 正当な理由がないにもかかわらず、相続登記をしない場合、10万円以下の過料が課される危険性もあります。
わたしも、これまでに、相続登記をしないままで放置してきた土地に関する案件を扱ったことがあります。
登記を確認したところ、私も知らないような元号の江戸時代生まれの方(!)が所有者だった、ということも数回あります。
こういう土地は、登記が放置された状態で数回の相続が繰り返された結果、お互いに血縁があることすら知らないような遠縁の相続人が関与することになり、相続人の捜索だけでも困難を極めます。また、様々な理由から任意の話し合いでの解決に至ることは稀で、裁判所の手続に頼らざるを得ないことが大多数です。こうなると、放置された登記の問題を解決するのに膨大な時間と費用を費やすことになるのです。
なお、令和6年4月1日より前に相続した不動産も義務化の対象になりますのでお気を付けください。
本件について気になることがあれば、お気軽にお問合せください。
どうもありがとうございました。
アイキャッチ画像:DALL-Eによる画像生成